幸せだって
笑って。
01
遠足を前にわくわくして眠れない子供のように、遠足当日の朝にいつもより早く目覚めてしまう子供のように。
ユリはほんの少しだけ寝不足で、しかしそれを感じないくらいの高揚感に満たされながら朝の身支度を進めていた。
いつもよりも少しだけ豪華な朝食と、この日のために練習した、いつもと少し異なるメイク。お気に入りのワンピースと、間違っても靴擦れなんて起こさないように数日前から慣らしておいたパンプス。服装の雰囲気に合わせたアクセサリーにバッグ、そして帽子。
ヘアアレンジもしちゃおうかな、と考えてドレッサーの前に座ったユリだったが、兄とお揃いのプラチナブロンドに手を加えるのもなんだかもったいない気がしたので、やめることにした。
時間を確認する。ちょうどいい時間だった。今から家を出れば、余裕をもって待ち合わせ場所にたどり着けるだろう。メイクが崩れていないか、ドレッサーの鏡でもう一度確認する。――バッチリね、練習した甲斐があったわ。
鼻歌を歌いながら玄関に向かう。パンプスを履いて、帽子をかぶって、バッグを持って、姿見で最終チェック。――うん、完璧!
自分の姿に満足して、ユリは玄関の扉を開けた。空は快晴、絶好のお出かけ日和だった。今日という日を世界が祝福してくれているかのようだ。
ユリがここまでご機嫌なのには訳がある。――今日はユリの誕生日であった。
それだけではない。この歳にもなれば誕生日もひとつの区切りでしかないのだから、その程度ではユリもここまで朝から気合を入れてお洒落をしたりしない。昨晩からそわそわとしたりもしない。
今回の誕生日は特別なのだ。
兄が――キリコが、ユリの誕生日だからと、その一日に付き合ってくれると言ってくれたのだから。